インフルエンザと新型コロナウイルス感染の同時流行はあるの?
新型コロナウイルス感染の流行が騒がれている今年の冬、インフルエンザとの同時感染、同時流行が懸念されるという発信が行われていますが、本当にインフルエンザとの同時流行が起きるのでしょうか?私は、同時流行の可能性は非常に低いと考えています。
最も大きな理由は「ウイルス干渉」という現象により、インフルエンザウイルスが非常に感染しにくい状況になっていると考えられるからです。
「ウイルス干渉」とは
感染部位が同じウイルス同士では、いずれか1種のウイルスが蔓延すると、他の種のウイルスは感染できなくなるという現象です。インフルエンザウイルスと新型コロナウイルスはどちらも、鼻、咽、肺の粘膜という気道粘膜に感染する性質のウイルスです。つまり、どちらのウイルスも人の気道粘膜が感染標的で、片方のウイルスが感染するとそのウイルスによって粘膜が占領されて、感染標的が同じウイルスは感染できなくなるのです。
また、片方のウイルスが感染すると、粘膜で免役反応が起こり、サイトカインという免疫蛋白が分泌されて炎症が起こります。そうすると、他のウイルスが感染しようとしても、サイトカインによってブロックされてしまうので、感染できなくなるという現象です。
今年の1月からインフルエンザは激減している
下は日本のインフルエンザ流行状況の推移をグラフにしたものです。赤色が2019-2020の流行曲線で、過去と比較すると大きく減少しています。インフルエンザの減少は、現在も続いています。
・インフル患者わずか3人、昨年の1000分の1以下…手指消毒やマスク徹底で/2020.9.15
・インフル患者、激減 日本、前年4543人→7人 南半球、WHO「流行なし」コロナ対策奏功か/2020.10.4
インフルエンザ激減の理由
手指消毒とマスクが徹底されたから
は本当なのでしょうか?
新型コロナウイルスが蔓延して、多くの人が手指消毒やマスクをしているのでインフルエンザが激減してきたという、本当のような意見がマスコミなどで言われています。
しかし、日本でのインフルエンザの流行状況をより詳細に見ると、手指消毒やマスクは関係はないように見えます。
次の図は、2019-2020の日本各県のインフルエンザ患者流行曲線です。
長崎、広島、福岡、北海道のインフルエンザ患者の推移ですが、2019,12/28の週に軽い減少のくびれ(長崎は2019.12/2の週)が見られ、2020.1/13の週から大きく減少し、その状態がずっと続いています。
日本で新型コロナウイルス感染が広く知られるようになったのは、2020.2.2にダイヤモンド・プリンセス号が横浜に入港して以降です。
ただ、その時は中国の武漢で発生していた新しい感染症で、日本から中国がんばれというメッセージや救援物資を送ったりしていました。その後、日本国内で新型コロナウイルス感染が拡大していき、4/7から埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県を対象に、その他の都道府県については4/16から緊急事態宣言が出されました。
手指消毒やマスク着用が推奨されるようになったのもこのあたりからで、品薄になって騒ぎになったのは記憶に新しいと思います。
多くの国民が、手洗い、アルコールなどによる手指消毒、マスクをする以前にすでに、インフルエンザ患者は大きく減少していますので、手洗いなどの衛生行動との関係性は見られないと言えます。
プラス通信8月号でご紹介しましたが、京都大学の上久保教授らのチームが解析したように、新型コロナウイルスの弱毒性のS型(タイプS)、中毒性のK型(タイプK)が日本に流入したことで、ウイルス干渉がおきて、インフルエンザウイルスが感染できなくなったと言う理論が、現在の所、最も合理的にこの現象を説明できます。
風邪症状が出たら
現在の所、日本も含め世界中で新型コロナウイルスが蔓延している状況と考えられます。この状況で風邪症状が現れた場合、新型コロナウイルスによる症状の可能性はある程度あると思われます。これだけ蔓延しているウイルスから感染を防ぐというのは、実生活の中では不可能と言えますので、ある程度の確率で感染するのは避けられないと思います。
ウイルス感染の治療は
インフルエンザも新型コロナウイルスも同じです
寒くなってきて、プラス薬局の患者さんも風邪症状でのお問合せが増えてきていますが、皆さん、お伝えした漢方処方で問題なく治っています。
・熱がなく、咽が痛む、咳が出る、鼻水が出る初期段階
基本処方
プライケアEiz+JPS-14+JPS-24
・発熱、悪寒、四肢関節の違和感などが見られる発症段階
基本処方
プライケアEiz+JPS-14+JPS葛根湯液
熱が高い、体がきついなど症状が強い場合は
JPS牛黄元とJPS順気散を併用
※風邪症状は時間の経過と共に急に変化します。また、ご自身の症状を的確に判断して状態にあったお薬を選ぶのは、経験に裏付けられた専門知識が必要になりますので、時間外、休みの日でもご遠慮なく、ご連絡下さい。
080-4285-6709
※日本では、新型コロナウイルスに感染しても殆どの人は、無症状か軽症で、重症化したり死亡する例はごく少数です(他の国は状況が違います)。同じウイルスに感染して、これだけ大きな差があると言うことは、ウイルスの毒性と言うより、重症化する人の免疫に何らかの大きな要因があると考えるしか説明がつきません。ご心配な場合はご相談下さい。